魂を持つもの  殷雷編







俺はこいつを護るんだ!

失うことに恐怖を感じた

はじめはただの義務感だった

約束したんだ
たとえその身を砕かれても
命をとしても

使用者にかかる火を払えなくて
何が武器の宝貝だ!

意地があった


だが…


それが…ただの義務感だけじゃなくなるのに
大して時間はかからなかった


護られていたのかもしれない


ふと、そう思った


開き直ったことすらあった


『ただの道具なんかじゃない』

かまうものか!俺は欠陥宝貝だ!
俺は…!こいつを…!


あの言葉が出たのは

無知だったからなのかもしれない

見知った宝貝はほとんどが欠陥品

こいつは、道具を知らなかったのかもしれない


護られていたのかもしれない

こいつの

何より強い魂に


――――心を―――

最高の使用者

俺はこいつを―――








     俺はこいつに応えたい





「龍華よ、少しだけ分かったような気がするぞ」

本当に少しだけ―――

「俺たちが魂を持つのは…
変わっていけるからなんじゃないのか…?」

自惚れなんかじゃねえ

俺はこいつのおかげで、多少なりとも変わった気がする


隣の和穂を見ていて
思わず笑みが出る

誇りもへったくれもねえな

「殷雷、さっきからなんでこっちを見てるの?」


さっきから?!
こいつ気付いてやがったのか?!
まさか独り言を聞かれたか?!

一瞬心臓が跳ね上がる

「ねえ、どうして?」

素直な顔

龍華の話にならないところを見ると
どうやら独り言は聞かれていないらしい

安堵と一緒にほころびそうになる表情を
少し皮肉な笑みで誤魔化して

「龍華のやつは使用者としていただけないところがあったが
お前はどうかと思ってな」


案の定怒りやがった


師を超える弟子が居ちゃいけねえ事はねえ

こいつは素質の問題だ


『おまえは龍華を超える
最高の使用者だよ』



























け、言えるか馬鹿









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かなーり初めのころに書いたもんです。
ひねりも何も考えてないので希望やら妄想やらが垂れ流し状態ですな。
公害にならないことを祈りますよ。

和穂編

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